福祉社会学会賞

福祉社会学会では、福祉社会学研究の一層の発展のために、福祉社会学会賞を設け、優れた研究業績を発表した会員を表彰しています。

第7回福祉社会学会賞

◆学術賞
鎮目真人『年金制度の不人気改革はなぜ実現したのか:1980〜2016年改革のプロセス分析』ミネルヴァ書房、2021年。

◆奨励賞
(著書)
資格要件を充たす著書の推薦(自薦を含む)がなかったため、該当作品なし。
(論文)
該当論文なし。

●選考理由
・学術賞 鎮目真人 『年金制度の不人気改革はなぜ実現したのか:1980〜2016年改革のプロセス分析』ミネルヴァ書房、 2021年。
 1980〜2016年に行われた日本の年金制度改革は、国民の負担増や給付削減といった「不人気」な内容を含むものであった。本書は、このような改革が可能になった要因について、質的比較分析とプロセストレーシングの方法を用いて、プロスペクト理論、言説的制度論、歴史的制度論の視点を取り入れつつ、明らかにしたものである。
 年金改革の通史として興味深く、また、「不人気」改革の実現・非実現のメカニズムを検証する方法は堅実である。さらに、理論的な含意に加えて、今後の年金改革にむけた政策的含意が示されている点も特筆すべきである。
 堅固な構成にもとづく着実な学術的成果を示す著作として、学術賞に値すると高く評価された。

・奨励賞(著書)複数の推薦作品があったものの、いずれも資格要件を充たしていないことが確認されたため、受賞候補作品の選出もなされなかった。

・奨励賞(論文)担当委員全員がすべての論文を読み、事前に報告資料を作成して審査会に持ち寄り、慎重に議論を重ねたが、奨励賞(論文)については該当なしという結論に至った。


過去の受賞者

第6回受賞者・対象作品

 学術賞
  井口高志, 2020, 『認知症社会の希望はいかに開かれるのか』晃洋書房.

 奨励賞
  著書
  岡部茜, 2019, 『若者支援とソーシャル・ワーク』法律文化社.
  税所真也, 2020, 『成年後見の社会学』勁草書房.
  相良翔, 2019, 『薬物依存からの「回復」―ダルクにおけるフィールドワークを通じた社会学的研究』ちとせプレス.
  論文
  三枝七都子, 2020, 「喧嘩に耐え<ともに生きる>」『福祉社会学研究』17:223-245.
  吉武理大, 2019, 「貧困母子世帯における生活保護の受給の規定要因」『福祉社会学研究』16:157-178.

第5回受賞者・対象作品

 学術賞
  株本千鶴,2017,『ホスピスで死にゆくということ―日韓比較からみる医療化現象』東京大学出版会.
  野辺陽子,2018,『養子縁組の社会学―〈日本人〉にとって〈血縁〉とはなにか 』新曜社.

 奨励賞
  著書
  米澤旦,2017,『社会的企業への新しい見方―社会政策のなかのサードセクター』ミネルヴァ書房.
  桜井啓太,2017,『〈自立支援〉の社会保障を問う―生活保護・最低賃金・ワーキングプア』法律文化社.
  論文
  池田裕,2018,「一般的信頼と福祉国家への支持―ISSPのデータを用いたマルチレベル分析」『福祉社会学研究』15:165-187.

第4回受賞者・対象作品

 学術賞
  森川美絵,2015,『介護はいかにして「労働」となったのか―制度としての承認と評価のメカニズム』ミネルヴァ書房.

 奨励賞
  著書
  濱西栄司,2016,『トゥレーヌ社会学と新しい社会運動理論』新泉社.
  論文
  税所真也,2016,「『成年後見の社会化』からみるケアの社会化―士業専門職化が及ぼす家族への影響」『家族社会学研究』28(2):148-160.

第3回受賞者・対象作品

 学術賞
  丸山里美,2013,『女性ホームレスとして生きる―貧困と排除の社会学』世界思想社.
  大岡頼光,2014,『教育を家族だけに任せない―大学進学保障を保育の無償化から』勁草書房.

 奨励賞
  著書
  秋風千恵,2013,『軽度障害の社会学―「異化&統合」をめざして』ハーベスト社.
  深田耕一郎,2013,『福祉と贈与―全身性障害者・新田勲と介護者たち』生活書院.
  論文
  三谷はるよ,2014,「『市民活動参加者の脱階層化』命題の検証―1995年と2010年の全国調査データによる時点間比較分析」『社会学評論』65(1):32-46.

第2回受賞者・対象作品

 学術賞
  須田木綿子,2011, 『対人サービスの民営化―行政-営利-非営利の境界線』東信堂.

 奨励賞
  平野寛弥 ,2012,「社会政策における互酬性の批判的検討」『社会学評論』 63(2) :239-255.

  山本馨 ,2011,「地域福祉実践の規模論的理解―贈与類型との親和性に着目して」『福祉社会学研究』8:85-104.

第1回受賞者・対象作品

 学術賞
  三重野卓,2010,『福祉政策の社会学―共生システム論への計量分析』ミネルヴァ書房.

 奨励賞
  著書
  菊池いづみ,2010,『家族介護への現金支払い―高齢者介護政策の転換をめぐって』公職研.
  前田拓也,2009,『介助現場の社会学―身体障害者の自立生活と介助者のリアリティ』生活書院.

  論文
  石橋潔,2010,「表情を交わし合う相互行為―行為論およびケアとの関連において」『福祉社会学研究』7:73-98.


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