福祉社会学会第15回大会シンポジウムについてのお知らせ


第15回大会のシンポジウムは、以下のようなものに決定いたしました。

「福祉社会学とソーシャルワーク研究」
コーディネーター:室田信一(首都大学東京人文科学研究科)菊池いづみ(日本社会事業大学社会福祉学部)
報告者:副田あけみ(関東学院大学社会学部)
    三島亜紀子(同志社大学社会福祉教育・研究支援センター)
    竹端 寛(山梨学院大学法学部)

企画の趣旨:
 本シンポジウムは、社会福祉学の研究領域の一つであるソーシャルワーク研究に着目し、福祉社会学とソーシャルワーク研究の親和性を探求し、福祉社会学としてソーシャルワークを研究することの意義について考えることを目指す。
 2013年、本学会の編集によってまとめられた『福祉社会学ハンドブック』の「福祉社会学の現状と構図」の項目にて本学会元会長の武川は次のように述べている。
「福祉社会学という言葉に接したとき最初に浮かぶ疑問の一つは、福祉社会学と社会福祉学との関係であろう。両者は同じなのか異なるのか。重なるところがあるのかないのか。」
 自身によるこの問いに対して武川は 「福祉社会学と社会福祉学は、重なる部分もあり得るし、重ならない部分もあり得る」 と答えている。実際、福祉社会学会の学術大会や学会紀要では社会福祉の研究が多数発表されている。それらの研究は福祉社会学と社会福祉学が重なった部分の研究に位置付けられるといえよう。高齢者福祉や障害者福祉などの社会福祉の現場における営みを社会学的な観点から分析する研究がそれらの多くを占める一方、社会福祉研究の主流な研究領域であるソーシャルワーク(社会福祉の援助技術)を対象とする研究は極めて少ない。
 なぜソーシャルワークは福祉社会学の研究対象として扱われることが少ないのか。福祉社会学とソーシャルワークの研究を分断する要因があるとしたら、それは何であるのか。
 上記のような問いを足がかりに、本シンポジウムではソーシャルワークを研究する研究者に登壇していただき、その研究方法や対象に接近するアプローチなどについて報告していただく。登壇者の報告を受けて、会場の参加者とともに福祉社会学研究者がソーシャルワークを研究する意義について考えたい。また、福祉社会学がソーシャルワーク研究に貢献することができるとしたら、それはどのような点で、それは社会福祉学による貢献とはどのように異なるのかという問いについても議論していく。
 以上のような論点を通して、福祉社会学と社会福祉学の異同や、両者の研究方法の違いについて、また福祉社会学の特徴について議論が深められることを期待する。

 シンポジストの副田氏は『闘争性の福祉社会学−ドラマトゥルギーとして』の中で「ケースワーカーとクライエントの葛藤関係」を執筆している。福祉社会学の視点を兼ね備えたソーシャルワーク研究者の立場から福祉社会学との接点や親和性について述べていただく。三島氏は著書『社会福祉学の〈科学〉性−ソーシャルワーカーは専門職か』の中で「科学」という観点からソーシャルワークの専門性を歴史的に俯瞰している。ソーシャルワークの理論や実践のパラダイムを対象化して分析するその研究方法は、社会福祉学と福祉社会学を架橋するものとして本シンポジウムの議論にとって参考になると思われる。最後に竹端氏は登壇者の中で唯一の本学会員で、本学会においてこれまで積極的に研究成果を報告してきている。竹端氏の研究は社会福祉の実践現場に密接に関わるものであり、本シンポジウムでは現場のソーシャルワーカーとの共同研究の経験を参考にご発言いただく。

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