福祉社会学会第15回大会テーマセッションについてのお知らせ


第15回大会のテーマセッションについては、以下の自主企画型のテーマセッション1件の応募があり、これを承認いたしました。今回は公募型のセッションはありません。

テーマセッション「退職移動−健康、介護、そして労働をめぐって−」(仮題)
コーディネーター:上野加代子(徳島大学総合科学部)
報告予定者 上野加代子(徳島大学総合科学部) 大西美智恵 (香川大学医学部) 辻京子(四国大学看護学部) 

 日本では高齢者の地理的な移動パターンが認められにくいことが指摘されてきたが、2000年以降、日本から東南アジアへの自発的な退職移動が社会現象として観察されはじめた。さらに現在、米国のCCRC(Continuing Care Retirement Community)が日本に導入されようとしており、退職者の都市部から地方への移動を促進する日本型CCRC政策が政府主導ではじまっている。
 本部会では、高齢者の地理的移動について、健康維持、介護、労働のキーワードから分析する。調査対象は、東南アジアの国際退職移動者、日本の行政主導の高齢者移住政策のパイオニア事業として位置づけられている島根県の「シルバー・アルカディア」事業、日本型CCRCなどである。報告として現時点で考えているのは次の3つである。
 第1報告「退職移動と健康維持−国際退職移動者のトラジェクトリー−」では、国際移動者(第一次移動)のその後のパターンをチェンマイでの質問紙調査やインタビュー調査から類型化し、健康維持への高齢者の戦略として分析する。(大西美智恵・上野加代子)
 第2報告「島根県・西ノ島市シルバー・アルカディア事業−再訪−」では、シルバー・アルカディア事業に関する行政、移住者、地元のひとたちへの聞き取り調査から、退職者の都市部から地方移住を促進する日本型CCRCの課題や困難を提示していく。(上野加代子・辻京子)
 第3報告「退職移動−介護と労働−」は、国際退職者移動を参照しながら、CCRC事業にも共通する課題、そしてCCRC独自の困難を「介護」という点から検討する。そして、年金支給額の減少、介護士不足、地方からの人口流出、労働者不足などをCCRCで緩和しようとする政府の試みを、高齢者の「総労働化」政策として批判的に検討していきたい。(上野加代子・辻京子)

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